ビジネスに活かす!最新・米軍式意思決定の技術



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「新軍事意思決定法」

意思決定サイクルの回転スピードを最重要視する「新軍事意思決定法」は、
世界規模の米軍トランスフォーメーション・わが自衛隊の改編と直結してい
ます。それにしても、ビジネス書として売るためでしょうか、内容の重要性
にもかかわらず、発行元はなんとも安っぽいタイトルをつけてくれたもので
す。
『軍事革命RMA』著者で元将補の中村氏が、現在米軍で進行中のトラン
スフォーメーションの中核となっている「新軍事意思決定手法」を詳細に解
説しています。陳腐なビジネスノウハウ書ではありません。
著者は「ビジネスに多くのヒントを与える」ことにも力を注いでおり、
まえがきでわざわざビジネスへの応用に関し詳細な解説をしています。
企業経営と部隊指揮は恐ろしいほど共通していることもよくわかります。
たしかに、この意思決定法の理解を通じて経営にも役立つと思います。

3部のうち1部という大部を「経営との連関」に割いている理由は、第2部を
ご覧になると理解いただけるかと思います。あわせて、著者はおそらく、
この「新軍事意思決定法」が歴史的に見てきわめて重要で、今後の軍事・
わが自衛隊にも大変大きな影響を与えるからよく理解しておく必要があり
ますよ、と暗に示しているようにも思えます。

出色は第3部で、軍人の思考過程を実にわかりやすく解説しています。
軍務には高度の抽象性が求められる事実を改めて感じさせられます。

私どもは、米軍トランスフォーメーションの中核部分をプロが解説した、
こういう本を待ち望んでいました。
米軍がなぜ今、奇襲を重視するか

顧客のニーズを「造り出す」ためには、顧客を「奇襲する」ことが肝要であり、「奇襲する」ためには、ジョン・ボイド米空軍大佐の「OODAループ型意思決定法」に習熟すべきである、と著者は主張する。つまり、本書の前提は、第一に、ニーズは「掴む」よりも「造り出す」ことが重要であること、第二に、そのためには、迅速反応・融通無碍を重視して計画・実施することが必要であるというものである。これらの前提を受け入れるなら、たしかに、綿密周到・頑迷固陋を重視した「分析的・直線型意思決定法」は表舞台から去り、「直観的・ループ型意思決定法」がスポットライトを浴びるべきだろう。また、著者は、米軍の最新ドクトリンが集中よりも奇襲を重視し、意思決定法も直観的・ループ型に転換したことを指摘する。意思決定のループを敵よりも速く回転させるなら、敵指揮官の状況判断を狂わせ、戦闘を交えることなく屈服させることができる、と考えるからだそうだ。本書は(1)米軍がなぜ今、奇襲を重視するか、(2)各意思決定法(分析的・直線型と直観的・ループ型)の歴史的背景や利点・欠点、(3)各意思決定法の具体的思考過程について、実に分かり易く解説しており、ビジネス志向で、軍事音痴の私にも、大変興味深く面白い。しかし、本書の立脚する二つの前提をそのまま受け入れて良いものだろうか、と自問せざるをえない。
意志決定革命

「ビジネスに活かす」という副題が付いているが、現職が見ても非常に分かり易い内容になっている。軍事戦略の大家たる著者の長年の蓄積がほとばしっている。すらすらとあっという間に読みきったのは現職だからではあるまい。新書版RMAはこれを読むと非常に良く理解できる。

新しい時代のビジネス指南書として注目

戦後しばらくの間、ビジネス指南書としてもてはやされたのが旧日本軍の作戦要務令や孫子の兵法であった。また、ORやランチェスターは流通業界で注目された。しかしテクノロジーの進歩は戦場の様相を一変させた。ビジネス界も例外ではない。米軍は個々の作戦で、その結果を指揮や装備に至るまで厳しく評価し、改良を加え、次の作戦に役立てている。本書にのべられているその方法論は日々激しい競争にさらされているビジネスマンにとっても参考になると思われる。
勝負の鍵はスピード

本書は、軍事作戦における意志決定法をどのようにビジネスに活かすかという視点から書かれているが、むしろ軍事問題の専門家があらためて読み直し、スピードが勝敗の鍵を握る現代戦の戦い方について熟考する上で最適の書である。米国はイラク戦争において、政治的に一国主義との非難を回避する意味から、有志連合という方式をとり、できるだけ多くの国がそれぞれに実施可能な形態で戦争に参加或いは支援することを望んだ。その一方、実際の戦闘を行う場面では、逆に同盟国が足手まといになることを嫌い、極力単独で戦うことを望んだように見受けられる。そして実際に、「衝撃と畏怖」戦法により、スピード感に富んだ作戦テンポで戦いを進めた。このような戦い方を可能にしたのは、RMA(軍事における革命)の成果はもちろんであるが、本書が指摘するとおり、米軍が実施した作戦がまさに典型的な機動戦であり、それを支える意志決定法が適切に採用されたことによるところが大きかったのではないだろうか。米中央軍司令部でイラク戦の日々の戦況を観察する機会を得た者としての率直な感想である。本書は、これからの戦争の形態を再考する上でも、軍事に携わる上級幹部必読の書であるといえる。



東洋経済新報社
軍事革命(RMA)―“情報”が戦争を変える (中公新書)
オペレーショナル・インテリジェンス―意思決定のための作戦情報理論
なぜ、正しく伝わらないのか―戦争にみる情報学研究
情報化時代の戦闘の科学 軍事OR入門
戦闘の科学:軍事ORの理論―捜索理論,射爆理論,交戦理論